World of Warcraftのレビュー・評価

プレイ期間＝5年
感想＝
自分は無印、tbc、wotlkまでプレイした。
このゲームで私が特筆したいのは、2つの大きな対立陣営間では種族の協力関係が違い、そして言葉を共有しないという設定だ。
つまり、対立陣営間ではプレイヤーはコミュニケーションがとれない。

この発想は目からうろこだった。
普通他のゲームプレイヤーとコミュニケーションが取れるのがMMOの醍醐味だと思ってたのだが、一部プレイヤーとコミュニケーションをとれなくして対立関係を明白にしている。

この、ゲームプレイヤーを二分し、半数とのコミュニケーションを断絶させ、過疎化にも繋がるかもしれない危険性を孕んだ決断の恩恵を一番に受けているのが本作のPVPである。

道徳的な問題でPVPを忌み嫌う人は少なくない、特に日本人はPKを好まない。
平和が一番と良く言うが、平和的な世界が一体どれほど面白いのだろうか？
多分それは非常に退屈だと私は思う。
なので、製作者側はプレイヤーを争いに誘導しなければならない。
だが争いを好まない人にPVPをして下さいと直接伝えても効果はない。
もっと間接的に誘導しなければ、受け入れられないのである。

その点、wowは対立陣営間の争いという基本設定が非常に自然で受け入れやすい。
それでもまだ１つ大きな問題が残されている、言葉によるハラスメントである。
例えば、相手を亡き者にした後、その人からささやきで責められたら道徳心が傷つけられるし、それが原因でPVPから離脱する人も出てくるだろう。
そこでコミュニケーション自体をとれなくするという案は大胆でありながらも合理的で、会心の設定だと思う。

画して、対立してるのだから奇襲をしても卑怯な手を使っても許されるし、相手陣営の言葉が通じないので言葉によるハラスメントを浴びる事も無い。
PVPを遠慮していたプレイヤーにもPVPをする建前と理由ができ、そしてそれ自体がロールプレイとして昇華されている。

つまり難しく考えないで、アンデッド種族のプレイヤーが人間を襲うのは当たり前だし、人がアンデッドを退治する理由なんかもいらないから、もっと本能的にみんな襲ったり襲われたりして楽しんでくれという事なのだ。

結果的に野外で相手陣営のプレイヤーとPVPになる事は必然であり、常に襲われる危険が身に迫っている。相互陣営が入り乱れる地区では、ただ隣の町に移動するだけでも常に周囲に気を配る必要があり気を抜けない。そういう緊張感が楽しめるというのは、とても貴重だ。