ファンタシースターオンライン２（PSO2）のレビュー・評価

プレイ期間＝3年
感想＝オンラインゲーム上においてサービス開始からしばらく期間が経過した時期に上級職と呼ばれるクラスを解禁するという事はよくある話だが、上級職と位置づけられても大体の場合、使い手を選ぶピーキーな性格付けをされていたり、ゲーム上における新たな役割を与えられることが自分が今まで見聞きしてきたオンラインゲームの中では定石であった。

今回このゲームの新章ＥＰ５で新実装されたヒーローなる新たなクラスは、自分の中にあったそれらの定石を一蹴するほどの鮮烈さを以てＰＳＯ２に誕生した。
ＰＳＯ２というゲーム内においてプレイヤーの戦闘時における役割は主に近接攻撃・遠距離攻撃・回復支援等に分かれる。
プレイヤー側にその役割を自由に選ばせることでゲームとしての面白さを持たせるというコンセプトを名目上では掲げていたように感じていたのだが、運営側の意図はそうではなかったようだ。

このヒーローという新クラスは単独で近接攻撃・遠距離攻撃・回復支援行動を一通りこなせるのである。
しかも特筆すべきは、近接や遠距離の専門職の火力に匹敵(場合によってはそれ以上)のダメージを条件付きとはいえ継続的に叩き出せてしまうのだ。
支援・回復面においては、かろうじて既存クラスの本職が面目躍如といった感じではある。
しかし、単独で遠近の高火力を持ちつつ回復支援を「出来る」という点はやはり大きいといえるだろう。
つまり一言でいえば、今回登場したこのヒーローなる一つのクラスですべては事足りるのである。
支援職以外の既存クラスは、今回のＶＵでその存在意義すら否定されたようにさえ感じられるのだ。
これは自論ではあるが、オンラインゲームの醍醐味はプレイヤー側が様々な職を持ち寄って協力して駆使し、それらが上手く機能して最良の結果を得られた時に喜びを得るものではないだろうか。

現在、ＰＳＯ２ロビー内を闊歩するクラスの８割方がヒーローで占められており、まるで共産主義思想の渦中に放り込まれたような錯覚さえうける。
このクラスの利便性を素直に受け入れられ、ヒーロー１色に染まるエンドコンテンツを淡々とこなせるユーザーにとっては良ＶＵだったと言えるだろう。