WW2 Online

プレイ期間＝トライアル14日間ｘ2
感想＝なにしろ非常にシリアスな内容

FPSというものが大の苦手で、今まで散々敬遠してきたジャンルの評価ということで、これはFPSド素人という視点からの感想文とご理解ください。


まず最も印象的だったのは、戦争というものの再現性。
FPSがド下手ということに(多分)関わらず、とにかくすぐ死ぬ。
ライフル兵だろうが戦車だろうが戦闘機だろうが死にまくる。
歩兵なんぞは3階から飛び降りただけで重症を負うというスペランカー級。
そのため、360度あちこちから激しく聞こてくる爆撃音や砲撃音、近づいてくる戦闘機のプロペラ音、ライフルの至近着弾音などで既にちびりまくる。
攻守にかかわらず、とにかく1歩踏み出すことすらビクビクものという戦場の臨場感・緊張感の演出という点では満点評価できる。

身を隠していた茂みから何の遮蔽物もない草原に飛び出す時など、戦争映画のように「わあああああ！！」と思わず叫んでしまう気持ちがよくわかるというもの。
WW�Uをやった後に他のFPSをやると、みな草薙素子に見える。
逆に言えば、WoTのような派手な立ち回りなどがこのゲームでは一切ない。
ジャンプできないだけで腹立たしいというのに、敵との出会い頭では先に撃ったもん勝ち（1発でほぼ即死か即死 ヘッドショット有）。
初期装備のライフルはリロードが1秒以上かかるので、外せば死ぬ。
その上さらにもっさもさな足の遅さ、だというのにMAPが異様に広いため、復活地点から戦場まで向かうためにトラックに揺られてみたり無計画にドタバタ走ってると、今度はﾀｰｰﾝ!!とスナイパーに頭を撃ち抜かれてENDする。

超広大なMAPのどこから敵が来るかもわからないという目視オンリーが基本なので、たとえ殺されても、一体どこから撃たれたのかさえわからないことも多々。
あるいは、仲間たちが命を賭して報告してくれた敵位置の情報を頼りに、常に神経をとがらせて行動しなければ何も出来ないまま無駄に命を散らすのみとなる。

こういったシビアなシステムのため、基本的に待ち伏せや拠点防衛が重要なのは既出のレビュー通りだが、上級者になればなるほどこの待ちと攻めをさらにミックスさせて、復活地点や進軍要路（主に身を隠しながら進めるブッシュや建物周辺）深くにスナイパーなどをもぐりこませてくる。
そうなると、もう戦場へ到達するだけでも精一杯、派手な撃ち合いをイメージしてかかると、中身マラソンゲームというオチに萎えること確実。
（ちなみにスナイパーなどの''スコープ持ち''は歩兵の最上級ユニットなので、かなりXPを貯めないと使えない）

薄れゆく意識の中、苦労してここまで来たのに！
という悔しいんだか力が抜けるんだかな思いが、このか弱き一兵卒の命をさらに大切に感じさせるという、ある意味まさに本物の「ウォーシュミレーションゲーム」と言えるのではないだろうか。


ちなみに蛇足ながら、戦闘機や戦車の操縦などもリアルの度が過ぎてシュミレーターの域。
エースコンバットができる〜くらいでBF戦闘機に乗ってみたら、離陸だけで3時間以上練習するハメになった。
数十回激突死を重ねてようやく飛べるようになったら、今度は目一杯ロール→90度で止まらない→きりもみ操縦不能→墜落というこれまた憂き目に。
主翼尾翼などの角度調整まで出来るので、これを手足のように操作するｶﾞﾁで中身エースな人には当分勝ち目なしというものである。
あるいは戦車だと、運転手・見張り・砲撃手と最低でも3人分の仕事を切り替えて操作する必要があり、運転手の視界はマジ「覗き窓」のみ、かといって見張りの頭を出しっぱなしにしていると狙撃され、5分でも同じ位置に留まっていると視界外からこっそり近付いてきた対戦車兵にｶﾀﾝとサロンシップを貼って行かれる。
ポジティブに考えれば、頭と腕でどんなユニットも殺せるというシステムということになる（ただし昔からプレイしていた人に言わせれば、最近の連合＞枢軸のユニット性能差は相当偏っているらしい）。


まぁなにしろ、草むらでﾊｧﾊｧ息を殺す、落日の中孤独な空を飛ぶ、歩兵満載で木に激突する、発炎筒で360度視界を奪われる、暴走トラックに轢かれるなどなど、慣れればこのリアルさが実に楽しい。

惜しむらくは、中身が完全英語ゲー（な上にヨーロッパの様々な言語まで飛び交う）ので、敵位置や攻略作戦などの情報伝達がチャット・音声チャットを介しても把握しづらいこと。
もし情報が充分に共有できて、様々なユニットをチームワークで使いこなせれば最高に有利かつ楽しくなること確実なので、この内容のまま中身日本語版が出たら激しく盛り上がることは容易に想像できる。

もう1点地味に痛いのは、ダウンロード版で始めてもソフトに$20、月額$15とプチセレブな金額設定。

その2点くらいがパッと浮かぶマイナス点だが、なにしろゲームというよりシュミレーターに近いこれだけの硬派FPS、好き嫌いが分かれるのは仕方ないが、現在14日間無料トライアルもあるのでやってみるだけの価値は充分にある逸品ではないだろうか。